「生産技術 x IoT」による自働化・IT化で工場の生産性向上

ムダとは

ムダの定義

トヨタ生産方式の考え方とリーン思考で共通するのは、活動の前提として生産におけるムダを定義することです。ここで定義されたムダを顕在化し、改善することが目的となっています。またリーン思考では「生産」=「価値を生むすべての活動」ということを表現するため、トヨタ生産方式で定義された7つのムダに対し、サービスという観点で1つのムダを追加しています。

トヨタ生産方式では、ムダとは「原価のみ高める生産の諸要素」と定義されています。言い換えると、ムダとは「何らかの資源を消費するのに何の価値も生み出さないすべての活動」と言えます。

また、ムダは以下のように2種類に分類されます。

  • 現在の技術水準や生産環境では省くことができない、付随作業のムダ(第一種のムダ)
  • 価値を創造しておらず、すぐにでも省くべき、単純で明らかなムダ(第二種のムダ)

ムダの種類

ムダの種類 内容
1 造りすぎのムダ 顧客が欲しがるより早く造ったり、顧客が欲がる以上に多く造りすぎるムダ。

(トヨタ生産方式での「最悪のムダ」)

2 手待ちのムダ 前工程の作業が終わるのを後工程が待っているムダ。
3 運搬のムダ 目的のない搬送。ジャストインタイムに必要最小減な運搬以外の仮置き・積替え・小出し・移し替えなどのムダ。
4 加工のムダ 付加価値を上げない処理。製品・サービスの品質や機能に何ら寄与しない不必要な加工をするムダ。(加工=機械加工だけではなく、書類の体裁を必要以上に整えたりすることを含む)
5 在庫のムダ 仕事をするのに必要な最小のもの以外の在庫。
6 動作のムダ 目的のない人の動き。付加価値に直接寄与する動作以外の人の動きのムダ。
7 不良を造るムダ 不良品を造るムダや不良品を手直しするムダ。
8 顧客の要求と合わないサービス 顧客のニーズに合っていないサービスを生み出すムダ。

(リーン思考で追加されたムダ)

造りすぎのムダの恐ろしさ

一般的な職場でよく見られるのが、仕事の進みすぎです。感覚的に仕事が早く進んでいることはよいことと思われがちですが、以下のような問題の原因になります。

  • いつ出荷されるかわからない在庫が溜まる
  • 在庫を置くためのスペースが必要となる
  • 在庫を処分するために大安売りをすることになる

さらに、造りすぎてはいけない理由として、

  • 問題(改善のニーズ)を隠してしまう
  • 新たなムダの発生源になる

があります。新たなムダとは、

  • 材料・部品の先喰い
  • 先喰いできるようにするための材料・部品の在庫の積み増し
  • 電気・エアーなどのエネルギーの消費
  • パレットや通箱の増加
  • 運搬車・リフトの増加

です。

造りすぎのムダが発生する理由

人間は感覚的に同じ種類の物はまとめて処理(大ロット処理)して溜めておく方が効率がよいと考える傾向があります。しかし、大ロットで処理するということは、製品がその部門での次の段取り替えまで長時間またされるということです。(待ち行列が発生)

トヨタ生産方式を開発した大野耐一氏は、この「大ロットと待ち行列」という考え方が浸透したのは、農業が始まったときにさかのぼると考えました。それまでの狩猟生活(必要なときに必要なだけ=ジャストインタイム)から年一回の収穫を穀物庫に溜めておく(大ロット生産と待ち行列)という生活スタイルの変化により生まれた常識ではないかということです。しかし、実際は1個ずつ(場合によっては最小ロット)で生産する方がはるかに効率がいいのです。(詳細は「価値の流れ」参照)

能率

「能率」とは、いわゆる生産性のことで、価値を生み出すために投入する人的リソース(工数)の割合を1人あたりに表したものです。

能率の式(TPS)

大量生産では、作業者や設備の稼働率を増やすことで1個当たりの原価を下げる考え方が一般的です。つまり、生産性の指標でもある以下の式で示す「能率」を高くすることで、1個当たりの生産原価を下げる考え方です。

ただしこの考え方には、「造りすぎのムダ」を発生する落とし穴があります。それは、能率が投入工数に対する生産実績の割合という点に着目し、人員と稼働時間が一定ならば、できるだけ多く生産することが能率向上になると考えてしまうことです。(見かけの能率UP)これは誰も欲しがらないものを造って在庫を積むだけで、本当の原価低減にはなりませんし、顧客目線ではありません。ここで、顧客が必要とする量、つまり生産実績数を顧客要求数に固定し、分母をより少なくすることでも能率は向上します。(真の効率UP)

真の能率

稼働率と可動率

トヨタ生産方式では一般的な稼働率(のぎへんのかどうりつ)ではなく、可動率(べきどうりつ)を指標とすることで、「造りすぎのムダ」を発生させずに「価値の流れ」にムダがないかを管理しています。

稼働率とは、生産実績に対する生産能力の割合であり、生産量によって変わります。つまり顧客要求数のみを生産する場合は、顧客要求によって100%以上にも以下にもなるので改善の指標にはなりません。無理に稼働率を増やそうとして顧客要求数以上を生産すると「造りすぎのムダ」が発生します。

稼働率の式(TPS)

可動率とは、その工程に仕事が来たときに、その工程がすぐに仕事にとりかかれる割合を表します。つまり、可動率が100%ではないときは、その工程の手前に「待ち行列」が発生します。(製造業の場合は工程間仕掛り品在庫が溜まります)また以下の式より、不良を造った場合も可動率は低下します。(不良のムダ)

可動率の式1(TPS)

または、

可動率の式2(TPS)

このように可動率という考え方を指標とすることで、ムダを定量的に把握し、改善点を洗い出せます。

以上より、「造りすぎのムダ」が発生するのは、心理的な理由や生産効率の算出法による原因があることがわかります。

「造りすぎのムダ」が発生する原因

  • 生産のしくみの悪さ(「大ロットと待ち行列」を前提とした生産設計)
  • 後工程の引きのバラツキに対応するため
  • 必要以上に多い作業者を働かせ続けるため
  • 誤った稼働率向上・見かけの能率向上のため
  • 機会故障・不良・欠勤等に対する安心賃
  • 生産を止めることが罪悪であるという考え方

この「造りすぎのムダ」をなくすことが改善の第一歩です。すなわち「生産のしくみ」を整備し、造りすぎができないようなルールと制約を設けることです。

 

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